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パーフェクト・ワールド・ハルΦ-2

「絢美は? 寂しがってないの」 「あの家で俺と一緒にいるのも気を遣うだろ、かえって。でも、珍しくみささぎ祭のチケットくれって言ってたから、みささぎ祭では会えるんじゃないかな」  いつもの笑顔で返されて、これは無理だな、と皓太は悟った。絢美には悪いけど。  あたしとお兄ちゃんが最後に実家で顔を合わせたの、いつだと思う、と。暗に説得してくれと一学年上のもう一人の幼馴染みからメッセージが届いたのが、二日前。連休初日のことだった。  俺がどうのこうのと言えることでもないしなぁ、こればかりは。必要以上に粘るつもりはなかったので、早々に皓太は話を戻した。 「ごめん、それで俺に用だった? それとも榛名だった?」 「どっちも」  含みのある顔で微笑まれて首を傾げれば、幼い頃のような誘い文句が続いた。 「一緒に遊ぼうって誘いに来た」 「遊ぶ?」 「うん。茅野が、たまには良いだろうって。寮の中庭で花火しようって。今、みんな降りて来てるから、一緒においで」

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