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パーフェクト・ワールド・ハルΦ-3

「中庭で花火、ですか?」 「そう。寮長お墨付きだから、安心して大丈夫」  そう言えば、先程、中庭に面した窓の外から声が聞こえたような気がしたのだった。ドアの外に立っていた成瀬と高藤とを見比べて、行人は笑顔で廊下に出た。  この人からの誘いでなければ簡単に頷かなかったことを理解しているらしい同室者は、なんとも言えない顔を一瞬していたが。 「でも、なんでこの時期に花火なんですか?」 「去年遊んだのが片付けてたら出てきたんだって。湿気てたら茅野の所為な」 「いつも、そんなことしてるの?」 「たまにな、たまに。まぁ、他の寮に比べたら、ウチはそう言うところ、緩いかも知れないけど」  寮生委員会の会長と、生徒会長に副会長。役職持ちがこれだけ揃ってたら、そりゃある程度、好き勝手できるよ、と。言っていたのは誰だったか。――無論、それだけではないと、皆分かっている。寮のカラーは寮長のカラー。上級生が纏まっていれば、なお、安定する。つまるところ、櫻寮は、多少の諍いがあったとしても、基本的に健全で温かで、居心地が良い。

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