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パーフェクト・ワールド・レインⅡ-7
それもまた、そうだろうな、と分かっていた。本尾に何のメリットもないそれだ。ここに来たのはただの牽制で、保険だ。
――こうやって、適当に構ってやってる間は爆発しねぇからな、こいつは。
そう言う意味では、本尾は付き合いも長い分、扱いやすい。
「楓寮がばら撒く不穏な噂は放っておいていいのか、風紀委員」
「それこそ気になるなら生徒会が、権限使ってもみ消したら良いだろ。ウチが手を出すほどのものでもねぇよ」
「生憎。生徒会は、横暴な真似はしないんだ」
表立っては、ではあるが。成瀬が望まないことはやらない。やるとしたら、水面下でバレないようにする。それはもうずっと向原が自己満足で続けてきたことだ。
「何をしようが残るものは残る。消えるものは消える。ここはそう言う場所だ。おまえが何人もおまえたちにとって目障りな人間を追い出してきたのと同じで」
「おまえもだろう」
「そうだな。俺もだ」
あっさりと認めて本尾が続ける。
「生徒会は分かりやすく櫻を贔屓しているだろう。それは公平じゃないと思わねぇか?」
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