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パーフェクト・ワールド・エンドⅢ 11ー8
「なに。じゃあ、都合よく使われてくれんの、おまえが」
選んだ挑発的な口調に、また少し呆れたふうに笑う。
「まさか」
「……」
「まぁ、でも、おまえにとっても都合が良かったなら、よかったな。利害の一致ってやつだろ」
「また、それ」
今度呆れたように失笑したのは、成瀬のほうだった。
「どうせ、そのほうがおもしろいとか言うんだろ」
「正解」
あっさりと認めた向原が、灰を叩いた。初夏の空に白が瞬いていく。外のほうばかりを見つめたまま、でも、と向原は続けた。
「俺の気が変わらないほうがいいだろ?」
――だから、おもしろくなるように、ほかを潰せってか。
こいつ、本当に、人のこと、暇つぶしの玩具くらいにしか思ってないよな。舌打ちを呑み込んで、足元に視線を落とす。
もとはと言えば、自分が下手を打ったせいだとわかっているから、それ以上の文句の言いどころがないのだ。
暇つぶしにやらせろだのなんだのと言い出さないタイプだっただけ、マシだと思うしかない。
――向原? あぁ、あいつ、絶対、オメガとはやらない。うっかりできたとかごちゃごちゃ言われる隙はつくりたくないんだって。だから、基本、アルファの女がいいらしいけど。
――そもそも、オメガのフェロモンに振り回されんの、すげぇ嫌がってるから。
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