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パーフェクト・ワールド・エンドⅢ 17ー24

 ――ちょうどいい相手がいるじゃない。  その言いように反発を覚えたのは、そんな括りで縛られたくなかった、ということも一因だったのかもしれない。  築いてきたものを大事にしたい。真正面から見つめられて、同じ視線を返せない自分でいたくない。同じように、向き合いたい。  対等でありたいというのなら、きっとまずはそうしなければならなかった。改めて、しっかりと視線を合わせる。窓の向こうからは、寮生の楽しそうな声が響いていた。  アルファでも、オメガでも、ベータでも、誰でも関係がなく笑って過ごすことができる世界をつくってみたかった。まだまだ未完成で発展途上でしかない。でも、理想が引き続かれていけば、いつか。本当に、そんな日が来るのかもしれない。わからないけれど。 「おまえがいてよかった」  そう言いながら、なぜか泣きそうになってしまった。泣いたことなんて、もうずっとなったはずなのに。うつむいて、表情を隠す。気がつかれていたような気はするけれど、向原はなにも言わなかった。でも、どこにも行かなかった。

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