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パーフェクト・ワールド・エンドⅣ 0-2

 もう一度、ちらりと皓太は少し前を行く榛名の様子を見やった。  とりとめのない荻原の話に軽く相槌を打っている横顔は、最近のいつもどおりと言えばいつもどおりだし、さらにその少し先を四谷や岡が話しながら歩いていることもいつもどおりである。  ――まぁ、なんかあったとしたら、四谷なんだろうけどなぁ。  昔のように、ギスギスと当たり散らされているわけでもなければ、榛名が威嚇しているわけでもないのだが、様子が違っていることは、見ていればさすがにわかる。  なにをされているわけでもないので、逆にどうとも口を出しづらいわけではあるのだけれど。 「じゃあ、またあとでね」  よっちゃんたちも、と続いた荻原の声に、先を行っていた四谷たちの足が止まる。そこの輪のうしろに加わるかたちで榛名も教室のほうに向かって行く。その姿を見送って、ぽつりと荻原が呟いた。 「大丈夫かなぁ、あれ」 「いや……」  まぁ、大丈夫じゃない、と言いかけて、なんとなく皓太は口を噤んだ。四谷とは話していないのかもしれないが、岡とは話をしているようだし、小学生よろしく無視をされているわけでもない。だが、しかし。 「四谷とちょっと仲良くなったつもりだったみたいだから、余計にきついのかもね。なにしたのかは知らないけど」

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