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パーフェクト・ワールド・エンドⅣ 4-6

 いや、俺が心配することじゃ、本当にないんだろうけど。自分自身に内心で言い聞かせてみたものの堪えきれず、行人は今度こそ溜息をこぼした。  校内を歩いて、仮に姿を見かけたところで、なにを言っていいかもわかっていないのに。  ……なにやってんだろうな、俺。  もう一度溜息を吐き、うつむいたまま廊下を進んでいた行人だったが、人にぶつかりそうになって、慌てて立ち止まった。 「すみませ……」  顔を上げた瞬間、謝罪の言葉が途切れる。予想外の相手で、ひさしぶりに間近で接した相手だったからだ。  ――なんで、気づかなかったんだろ……。  向こうが自分に興味はないとわかっていても、お互いの自衛のために、用事がない限り、強いアルファには近づかないようにしていたのに。注意力が散漫になりすぎていたとしか思えない。 「向原先輩」  ぎこちない呼びかけに、呆れたを通り越した嫌そうな視線を返された気がしてしまった。とは言っても、表情が変わったわけでもなかったので、自分の思い込みの可能性も拭いきれないのだが。

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