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パーフェクト・ワールド・エンドⅣ 4-7

 沈黙に耐え切れず、そそくさと頭を下げて歩き出そうとしたタイミングで、溜息まじりの声が落ちてきた。 「やめろ、それ」 「え?」  喋りかけられるとは思っておらず、驚きの声がもれる。ぱちくりと見上げた行人に、向原がおざなりに言い足した。いっそう嫌そうな雰囲気だったので、察しの悪さを面倒に思われたのかもしれない。 「その、わかりやすく落ち込んだ顔だよ。同情されたいのか?」 「え……っ、と、……いや」  そういうつもりではなかったんですけど、という言葉が喉の奥でつかえる。そんなつもりは本当になかったけれど、そうなのかもしれないと思わざるを得なかったからだ。  昼間に四谷に言われた内容とほとんど同じことを、よほどでなければ自分などに口を出さないだろう人に指摘されたということは、そういうことなのだろう。  ――なんか、みっともないな。  どうにかしたいと思ったことも、がんばって他人に頼って打開しようと思って、でも、そのすべてが空回っていることも。そうして、「同情を引きたいような顔」をしているということも。  目指していた自分とは真逆のところに行き着いてしまっているようで、今すぐ逃げ出したいくらい恥ずかしい。じわっと目蓋の奥が熱くなりそうになるを感じ、行人は慌てて笑顔をつくった。もしかすると、これもろくにつくることはできていなかったかもしれないけれど。

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