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パーフェクト・ワールド・エンドⅣ 5-1
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自分を過大評価するつもりはないものの、皓太は自分がそれなりに目立つタイプで、それなりに影響力のあるタイプだと自覚している。単純にアルファだからだ。
だから、あまりひとりに入れ込むことはしないようにしてきたつもりでいる。全寮制の学園という、逃げ場のない環境で過ごしやすい日々を送るための自衛でもあったし、中等部にいたころから寮生委員やら生徒会やらで、公平であるべき立場にあったことも要因のひとつだ。
どちらにせよ、その自分が周囲から浮いている同室者を表立って過剰に庇うことはあまりいいことではない――ついでに言うと、周囲から浮いている原因の半分以上は同室者にあったので――と考えていた。それに、なにより、榛名にもプライドもあるだろうとわかっていたから、よほどでない限り口を出さなかったのだ。
――そのつもりだったんだけどなぁ。
今回だって、自分が余計なことをしたと知ったら、間違いなく怒り狂うとわかっているのだが。なんだかどうにも気になってしまって、ついつい寮の廊下で行き合った岡に問いかけてしまったのだった。
「あぁ、いや、今回は榛名は悪くないよ」
もしかして、あいつ、教室で、またなにかやらかしたりした? と、遠慮がちに確認した皓太に、いやにはっきりと岡は否定した。
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