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パーフェクト・ワールド・エンドⅣ 7-19

「たしかに、高藤も、俺とたいして変わんないのかもね」 「え?」 「すごい、かっこいいって思い過ぎてたかもしれないなってこと。まぁ、すごいとは思うけど、そうじゃないところもあるよねって」  これもあたりまえなんだろうけど、怖いなぁ。言われたときはそうだろうって思っても、ついさっき実感するまで、ぜんぜんしっくりきてなかったんだよ。そう笑った四谷の顔は、こちらが置いて行かれたような気分になるくらい、すっきりとしていて。 「まぁ、いいや。とにかく話せてよかったし。ありがとう。榛名にもう部屋戻っていいよって言っておくけど、いいよね?」 「あ、……うん。それは、もちろん」  榛名の部屋でもあるのだし。どちらかと言わなくとも、勉強の邪魔をしてしまっているし。了承を示すと、もう一度、ありがとう、と言ったのを最後に、四谷は部屋を出て行った。  ――なんか、本当に、すごいすっきりした顔してたな、四谷。  明日の朝会っても、たぶん、本当に、なにごともなかった態度を取ってくれるんだろうな、と安易に予想できる程度には。  少しでもすっきりしてくれたのならよかったと素直に思う。告白したことですっきりしたというよりは、自分の言動に呆れて見切りをつけたという雰囲気はあったけれど。四谷の言ったとおりで、皓太は自分が「すごい」などと思ったことはない。そういう意味でも、目を覚ましてくれたのならよかったのかもしれない。

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