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パーフェクト・ワールド・エンドⅤ 0-9
「なにもしないでほしいって言われても、僕は本当になにもしてないんだけど。それに、もし、僕が本当になにかをしていたんだったとしたら、榛名くんの大好きな先輩たちが注意したんじゃないのかなぁ」
「……」
「つまり、物的な証拠はなにもないってことでしょ。悲しいなぁ、僕。榛名くんは、片側の証言だけで、明確な証拠もなく僕を悪者にするんだ」
「俺にもやったことあっただろ」
直接的には水城はなにも手を出していないのかもしれない。けれど、明らかに知っている言葉を囁かれたことはあった。
「僕に覚えはないけど。でも、榛名くんがもし本当にそう思っているなら、大好きな先輩たちに言えばよかったんじゃない?」
なんでもないふうに笑い、でもね、と水城が続ける。
「榛名くんがなにを勘違いしてるのかは知らないけど、僕は本当に榛名くんにはなにもするつもりはないよ」
僕はね、と意味深長に繰り返したのを最後に、水城はくるりと踵を返した。
「僕は、榛名くんのこと、好きだもの」
ふわりと。柔らかそうな茶色い髪の毛が歩くリズムに合わせて軽やかに揺れる。その後ろ姿から視線を外し、行人も踵を返した。当初の予定どおり、生徒会室に向かう。
喧嘩をするつもりはないと言ったことは本当だ。でも、自分の居場所を守るためなら、それが大事にしたい人たちを守ることに繋がるのなら。絶対に折れたくはなかった。
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