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パーフェクト・ワールド・エンドⅤ 0-8

「そうかもしれない」  挑発に乗ることなく認めた行人に、水城は少し驚いたようだった。そんなに簡単に乗ると思われていたのだろうか。――いや、思われていたんだろうな。そう行人は思い直した。  何度も、何度も乗ってきて、そのたびに抑えたほうが自分のためだと諭されて。そうして、今、乗るべきではないのだと改めてわかった。  「でも、そうだとしても、俺は四谷を信じるし、……でも、べつに、だからって水城になにかするつもりも、口を出すつもりもない。クラスも違うし、寮も違う。ふつうにしてたら、関わることなんてそうないと思う」 「寂しいこと言うね、榛名くん。僕はずっと仲良くしたいって言ってるのに」 「俺も喧嘩するつもりはない」  だから、と行人ははっきりと自分の意志を告げた。 「もうなにもしないでほしい」  べつに、本当にそれだけだ。出ていってほしいなんて思わないし、ふつうに、一生徒として、楽しく過ごしてくれて構わないと思っている。  ただ、いつも自分たちを心配してくれている三年生に安心して卒業してほしくて、自分たちもあと二年をふつうに過ごしたい。高等部に上がるまで、ごくごく当然と、けれど、真摯に願っていた思い。  じっと行人を見つめ返していた瞳が、ふっと呆れたような色を浮かべる。

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