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パーフェクト・ワールド・エンド10-11
「それこそ性質の良い冗談じゃないと思うんだけど。何を言ってるの」
「そんなこと、冗談で言うわけないだろ」
「じゃあ」
苛立った声に呼応するように、自分の声にも険が混じり始めたことを自覚する。けれど、あまり深く考えたくなかった。
「なんで、言うんだよ、そんなことを、俺に」
「冗談じゃないからだよ」
たまらなくなったように榛名が叫ぶ。その必死さの真意が、じわじわと脳内を侵食していく。
「俺が知ってるだけじゃ、どうにもならないことが起きそうで怖いからだよ!」
「……ちょっと、待って」
そんなはずはない。芽生え始めた疑念を打ち消したくて、頭を振る。
「そんなこと、ないって。それこそ、本人から聞いたとでも言うつもり? ないでしょ、だって、それこそ、ずっと」
ずっと、そうだと思っていた。物心が付いたころから、ずっとそうだと。
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