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彼の暴走
そして、迎えた投票日当日ーー
午前中店を手伝い、お昼過ぎに橘内さんが迎えに来てくれて、そのまま藤さんの美容室へ。
「これを着るようにって」
藤さんから渡されたのは、ネイビーブルーの、フロントボタンの半袖のワンピースと、選挙用の白のジャンバー。
「これ、ですか?」
「まぁ、嫌なのは分かるけど、半日の我慢だから」
「・・・」
今更、なんで、引き受けたんだろう、そんな事を思いつつも、一樹さんの為、そう自分に言い聞かせて、゛姉゛になった。
事務所では、支援者が徐々に集まりだし、お茶だしをしながら、挨拶をして回った。
一樹さんとは、なかなか話す機会がなく、あっという間に夕方に。
「早織さん、今のうち、奥で少し休んで下さい」
橘内さんに声を掛けられ、なんら疑いもせず、彼の後ろに付いていった。
四帖半ほどの広さに、ベットが一つ。
「一樹さん、実家には泊りにくいようで、ここで寝泊まりしていたんです。。シーツは交換してありますから、横になって下さい」
「すみません」
橘内さんにお礼を言って、言われるままに、ジャンバーを渡した。
「か、一樹さん!」
橘内さんの後ろから彼が急に現れ、驚いた。
「びっくりさせないで下さい。寿命が縮むかと思った」
「そんなに驚かなくてもいいだろ。少し話しがしたい」
一樹さんに手を引っ張られ、ベットに並んで腰を下ろした。
「橘内、十分間は夫婦の時間だ。誰も通すな」
「分かりました」
橘内さんは頭を下げ、部屋から出ていった。
ん⁉夫婦の時間って⁉
話しするだけじゃないの⁉
「あ、あの、一樹さん!?」
「・・・」
彼は何も言わず、無言のまま、その薄い口唇を、僕の唇に押し付けてきた。
ん!ん!ん!!!
息、出来ない。
く、苦しい!!
手をグーにして、彼の胸を押した。
「僕は、姉じゃない」
離れ隙に、ぜいぜいと息を吐きながら、ありったけの声で叫んだ。
「わかってるよ、ナオだろ⁉」
耳元で、低い声で囁かれ、ねっとりと舐められ、背筋が、ぞぉーーーーとなった。
「一樹さん、何か、変だよ⁉」
「変にさせるのは、ナオの方だろ⁉」
そんな勝手な。
そんな事を思っているうち、ベットに押し倒されていた。
両手を、ワンピースのボタンに掛けたと思ったら、そのまま、左右対称に引っ張られ、ブチブチと、ボタンが全部飛んでいった。
「一樹さん、いやだ、いやぁ!!!」
手足をばたつかせて抵抗するも、体格の差、力の差は歴然としていて。
裾をたくしあげ、彼の手が下肢に滑り込んできた。
「だめって、だめぇ・・・いたっい」
ぎゅっと、下着の上から、自分のものを鷲掴みされ、余りの痛さに、涙が滲んだ。
「海斗だっけ⁉幼馴染み⁉もう、彼と寝たの⁉」
ぞくっとするくらい、一樹さんは怖い顔をしてた。
「妬けるね。どんないい声で泣いたか、教えてくれる⁉」
ぷるぷると震えながら、必死に、頭をふった。
「そう、それなら」
そう言って、更に強く握られ。
ぎゃぁぁーー!!!!
おもわず悲鳴を上げた。
悔し涙だろうか、一筋目から零れ落ちた。
「今日は、彼氏のもとには、帰さないから、そのつもりで」
「いやだ、なんで!?」
「お前は、今晩、俺の妻になるんだ。何不自由のない暮らしをさせてやる」
「う、嘘・・・」
首筋に彼の吐息がかかる。
そして、自分の所有物という証しに、強く吸われ、声にならない悲鳴が上がった。
下着の中に、彼の手が潜り込んでくる。何故か、今度は優しく上下に扱き始めた。
「一樹さん、やめて・・・」
涙が滲みでる。
こんなの、嫌だ・・・。
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