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しつこく呼び出される実家にいやいや向かえば、そこには珍しく親戚連中が勢ぞろい。
それぞれ仕事に不貞にと忙しくしているヤツ等だから、なんでもない日に、こうも同じ場所に集まることは少ない。オレの家に媚びを売りたい人間が見たら、文字通り、よだれを垂らすほどの光景なんじゃないかな。
とは言え、媚びを売りたいだけの人間なんて、簡単に追い払ってしまうだけの眼力が、全員に全員、備わってたけど。気の弱い人間なら、立っていることもできなくなりそうだ。
「オレの都合も関係なく呼び出しておいて、ゴアイサツっすねぇ」
「お前、くだらないことをしてんだってな」
まあ、世間話なんてナシに、本題を切り出されることは、分かってた。
なんでもない日に親戚連中が勢ぞろい。それは、重要な話がある、なによりの証拠で、そんな場で世間話なんて挟む余裕は無いだろう。
タイミングからして、彼の話だってことも分かっていたし、今のままじゃオレの代でこの家が絶えることになるから、なにか言われるだろうなって、覚悟もしてた。
だけど、真っ先に切り出された言葉で、オレの怒りは簡単に頂点。どこかで、ぶちっと、なにかが切れる音を聞いた。
けれど、両親や親戚連中はオレの怒りなんておかまいなしだ。まあ、地位も権力もある、ある程度の不祥事なんて、簡単にもみ消してしまう連中だ。しょせん、良い家の息子であるに過ぎないオレの怒りなんて、怖くもなんともないんだろうけど。
だから、オレの怒りなんて気にしないで、言葉を重ねていく。
不倫相手に愛を囁き、不貞を働く結果で喘ぎ声を紡いだ口で、「愛を知りなさい」「人を大切に想う気持ちは知っておいた方が良い」なんて言った口は、今度は、
「恋をしなさいとは言ったが、こんな物、恋とは言わないよ」
「思春期特有の、気の迷いだ。キミも早く大人になりなさい」
「血迷っているだけでしょ。早くまともになってほしいわ」
別に認められたいワケじゃない。どうでも良い親戚連中に認められて祝福されたって、嬉しくもなんともなかった。
気持ち悪い。汚らわしい。
合間に言われる罵倒だって、そんなに気にしてない。
ただ、オレの気持ちを気の迷いだと、血迷っているだけだと、そう言われたのが、やけに腹立たしかった。
まあ、アイツ等の話を聞いてる内に、オレがようやく見付けた本物の恋を、気の迷いだって言われたことに、怒ってる段階は、とっくに終わってたんだって思うしかなくなったけど。
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