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 別に認めてほしいなんて、思いはなかった。  他人がどう思っても、オレのことを「気持ち悪い」って言っても、「散々人の好意をバカにしたのに」って蔑まれても、気にならない。  だって他人の目なんて気にならないし、“恋愛は異性とするもの”っていうイメージが、どうしても強いのは、いくら今まで「恋愛アレルギー」だったオレにも分かる。  散々人の好意をバカにしていたのも事実だし、「掌返しやがって」ってムカつかれるのも、まあ、無理はないでしょ。オレ個人としては、彼は今までの誰とも違うんだ、って心境だけど。  うん。  認めてほしいなんて思ってなかったし、世間では「恋愛は異性とするもの」っていうイメージが強いから。  この国じゃ同性婚なんて認められてないし、そもそも同性じゃ子供ができないから。  だから、他人からはもちろん、両親や親戚連中がこの恋を認めるなんて思わなかった。  オレは「大事な“ご子息様”」。跡取りを作るための種を、無闇に捨てることを、あの口うるさく、地位に執着する人間が許してくれるはずもない。  だから、わざわざ「オレもついに恋を知りました」「でも相手は男性です」なんて、報告するつもりはなかった。  なかった、けど。  オレは、初めて恋をしたことで。  彼が見せてくれる色々な顔に。彼と過ごす時間に。  オレらしくもなく。あるいは、無邪気な子供みたいに、浮かれていたのかもしれない。  親戚連中に「何かがおかしい」と思われる隙を作ってしまっていた。  オレと彼との関係は、「何かがおかしい」と思った親戚の誰かに交友関係を調べ上げられて、あっけなく露見した。

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