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「処分を」
「可燃物の日は」
「清掃係に連絡」
テーブルを叩く指。叩いた回数。細かな動作は、目の端が捉えた。
それは親戚連中のがなり声の中、本当に小さくて。
その動作だって、些細なものだ。上司が部下を威圧しながら考え事したり、言い訳を求めたりする時にするソレ。威圧する側の両親や親戚連中がやっても、不自然じゃない。
現に今オレは、そんなものは恋じゃないと威圧されてる側でもあるし。
だけど、ソレがそのままの意味だけじゃないのを、オレは分かっていた。
もう子供じゃないんだと言いながら、誰よりもオレをガキだと思っているのがコイツ等だ。だから気付かないと思ってるんだろう。
厄介な役員を処分したい時。
気に喰わない社員を消したい時。
自分達がどんな方法で相談し、指示を出し合っているのか。
もしかしたら、アイツ等はオレが気付いているのを知って、ソレをわざわざオレの前でやったのかもしれない。
その場合は、そのまま、脅しの意味で。
「このままお前が別れないようなら、ソイツを殺すぞ」と。
オレに伝わらないなら、彼をこっそり殺してしまえば良い。
オレに伝わったのなら、オレが彼と別れると考えて。
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