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プロローグ
「オレの名前は―――知花と言います。皆さん、宜しくね」
急に聞こえてきた男の声が妙に気になり、僕は眠気のせいで机に突っ伏していた頭をゆっくりと上げてから、その声が聞こえてきた教壇の方へと目線を向けた。
夜更かしからくる寝不足のせいで未だにショボショボしている目を教壇の方へと向けた途端に、その転校生―――知花という男の子とバッチリ目が合ってしまい、慌てて顔を背けてしまう。
「え~……あの転校生、ちょっとかっこよくない?」
「まあ、確かにかっこいいけど……なんか、髪の毛の色がおもしろいと思わない?」
すぐ側からヒソヒソと女の子達が話す声が聞こえてきて、段々と頭がハッキリしてきた僕はチラリとその転校生の姿を観察してみる。
―――光の加減で白髪にも銀髪にも見える髪の毛。
―――周りの女の子達が騒ぐのも頷ける程に整った顔立ち。
―――女の子だけじゃなく周りの男子達ですら声を失って見とれてしまう程に爽やかな笑顔。
特に取り柄のない僕とは―――すむ世界が違う程にその転校生は目立っていた。
「え~……と…………転校生の席は……」
「―――先生、オレの席……あそこの男の子の隣でも構いませんか?」
と、突然にその知花という転校生は僕の顔をジイッと見つめながらニコニコと微笑むと、すぐ側で彼が座る席を探してキョロキョロと辺りを見回している担任教師へと穏やかな笑みを浮かべつつ尋ねるのだった。
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