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旧校舎の噂①
◇◇◇◇
その後、結果的に知花は僕の隣の席となり―――僕は気が気じゃなかった。
何故なら、僕の席の左斜め向かいに座っている双子の兄の想太が知花が僕に話しかける度にジッと興味深そうに此方を見つめてくるからなのだ。時には、人見知りである僕の反応をからかうようにニヤニヤと笑いながら見つめてくるため、とても気まずいし居心地が悪くて堪らなくなってしまう。
しかも、僕にとって重要な問題はそれだけではないのだから質が悪い。
「…………」
(よりによって……僕の初恋の人である誠が……こんな側にいるなんて……運が悪いとしか言いようがないよ……)
「あ~……優太ったら、また誠を見てる……」
「ち、ちょっと……想太ったら……何を言って……っ……」
慌てて僕はソレ以上何かを言おうとした想太を止めたのだが、誠がいつものように机に突っ伏しながらスヤスヤと寝息をたてて寝ているため、ホッと胸を撫で下ろした。
今は昼の休憩時間で―――すっかりクラスメイトとして溶け込んだ知花は僕ら以外の同級生達と仲良さげに笑いつつ話し込んでいるのが分かる。
―――すると、
「ねえねえ、君達―――えっと、優太くんと想太くん……だよね?君達さ、旧校舎の鏡の噂について何か知ってる?」
ふいに、今まで他のクラスメイトと話していた知花が此方へと歩み寄ってきて相変わらず魅力的な笑みを浮かべながら僕と想太へと尋ねてくるのだった。
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