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夜の海へ①

「おい、それはそれとして――早くそのウィリアムとやらを追いかけるぞ……っ……まったく、この酒場に来た早々――面倒ごとに巻き込まれるとは……」 「……待って!!ウィリアムを追いかける前に――皆にこれを渡しておくわ。まず、これはウィルオーウィスプの青白い光を直視しないようにするための特殊なゴーグルよ。あと、クラーケンの周りを泳ぐ人魚達の歌声には充分に気をつけて。精神を強く保ってないとウィリアムのように錯乱してしまったり、最悪の場合――命を失ってしまうわ」 僕らが酒場の外へと勢いよく駆け出してしまったウィリアムを一刻も早く追いかけようとすると、ティーナがカウンター脇にある棚から取り出したウィルオーウィスプ避けの特殊ゴーグルとやらを渡してくれる。 それを受け取り、ティーナとノルマンへ深々とおじぎをした僕らは、彼らをそのまま酒場に残したまま――錯乱したウィリアムによって壊されたせいで大穴が開いてしまった扉へと向かう。 そして、ウィルオーウィスプの光避けのゴーグルを装着した僕らは足早にティーナとノルマンの二人きりになってしまった酒場から出て行くと――ウィリアムを追いかけるため、暗く不気味な夜の森を駆けて行くのだった。

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