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壊れるオルゴール、解かれる呪い②

そして、僕はオルゴールを手に持ったままグッタリと倒れている誠の側へと行くと――誠が未だに手にしている毒入りの赤ワインが入っている瓶を誠には悪いと思ったものの半ば強引に取ってから中身がどのくらい入っているか急いで確認する。 (思ったよりも――少ないけど……大丈夫かな……でも、とりあえずは――試してみなくちゃ…そうじゃなきゃ――ここにいる皆も……知花も――想太も――救えないまま……だ……っ……) 予想していたよりも遥かに中身が少なくなってしまっている毒入り赤ワインが入っている瓶を見つめると――心の中で不安げに呟いた僕だったが、不安を吹き飛ばすためにギュウッと固く手を握り締めて決意をするとオルゴールを再び大理石の床の上にコトッと置いた。 そして、地下で誠と共に城にかけられている呪いを解く方法を探していた時にリアムの執事だったゴーストの男の人から教えて貰ったやり方でオルゴールを鳴らしてみる。 『~♪♪~♪~♪♪~♪~♪♪~♪♪~……』 相変わらず哀しげな旋律を奏でるオルゴール――。 ――パシャ……ッ……!! そのオルゴールの哀しげな旋律を耳にしながら【リアムという青年の怨念】に憑依されたせいでデュラハンとなっているライムスと――愛しげな表情を浮かべつつ傍らにソッと寄り添う執事の男と妹であるリリーのゴーストを申し訳なさそうにチラッと見つめてから、僕は床に置かれたオルゴールへと真上から瓶の中に入っている毒入りの赤ワインを躊躇なくかけるのだった。

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