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井戸の中での作戦会議①
※ ※ ※
――井戸の中は暗い。
入り口から差し込む僅かな満月の光だけが頼りだ。しかし、よく耳を澄ましてみると――僕らが隠れた井戸の周りを尚も凶暴な唸り声をあげながらアラクネによって操られたワーウルフの群れが徘徊しているのが目に見えていなくとも分かる。
(考えろ……考えろ、僕――きっと……彼らの命を奪わずに弱らせる方法が何かしらある……はず……)
『ワーウルフはね――何かが弾けるような音を聞くと群れで一ヶ所に集まる習性があるんだ。あと、光に弱いんだよ……でも、満月の光で凶暴化するのに――光に弱いって何だか矛盾してて面白いよね~……』
――想太、ありがとう。
かつて、君が嬉しそうに微笑みながら僕に話してくれた言葉のおかげでワーウルフの弱点が分かったよ――。
「――ミスト、何かを弾けさせるような魔法か……もしくは眩い光を放つ魔法を唱える事って……出来るかな?」
「えっ……うん――出来ない事もないけど余り魔力は使いたくはないよ。今、ユウタが言ったような現象は爆発魔法と気絶魔法を同時に唱えれば可能だけどさ……2つの魔法を一気に唱えると魔力不足になっちゃう……これから、何が起こるか分からないから――出来るだけ魔力は節約しておきたいんだ」
「で、でも……あれだけのワーウルフの群れを一ヶ所に全部纏めて集めさせるには――それしか方法が……っ……」
――ミストの言葉も、もっともだ。
これから何が起こるか予想出来ない上に一番戦力として期待できるミストが魔力不足になってしまうのは――確かに僕としても避けたい。
「……ぐっ……ううっ……我輩……が……囮となる。ヤツらは……我輩の部下だっ……今度こそ確実に……我輩の命を……奪おうと――してくるはずっ……元から……ヤツらは――無愛想な上司である我輩を――慕ってなど……いなかったしなっ……」
「……っ…………!?」
ふと、僕がどうやったら凶暴化していて危険なワーウルフの群れをミストの強力魔法なしで一ヶ所に纏める事ができるのか必死で頭を回転させながら考えていると、相変わらず血まみれでグッタリしたまま肩で息をしつつ苦痛そうな表情を浮かべているガルフが僕らに提案してきたのだった。
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