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井戸の中での作戦会議②

「そ……そんなっ……ただでさえ――傷だらけのガルフさんを囮にするなんてっ……!!また襲われてしまったら――ガルフさんの命が危なくなるよ」 「し……しかし――それしか方法が無いのなら……我輩が……囮になるしかないだろう!?我輩おしても……大切な部下を……失うような真似などしたくないっ……アラクネに操られてしまったアイツらを助けられるのは……我輩しか……いないっ……」 血まみれで苦しげに呻き声をあげているガルフさんからの提案を聞いて、僕は戸惑ってしまう。しかし、ガルフさんは頑として――何の躊躇もなく己の部下を救えるのは自分しかいないと息を荒げながらも言い張るのだ。 「おい……マコトの恋人よ――私がこのガルフというワーウルフの身を守れば良いのだろう?いざとなれば、私の弓で忌々しいアラクネに操られたワーウルフの群れを攻撃する。無論、命を奪わないように――だがな……」 「――ユウタ……そろそろ、これからどうするか覚悟を決める時だよ。いつまでも……この井戸の中に隠れている訳にはいかないよ。ミストの準備は整った……だから、後はユウタの一言を聞くだけ――さあ、どうするの!?」 サンとミストの真剣な言葉を聞き、僕は苦しげに肩で荒く息をし続けて、尚も弱々しく呻き声をあげているガルフさんをチラッと一瞥すると――そのままギュッと目を瞑ってから深呼吸をした。 ――そして、 「……これから、ガルフさんを囮にして群れを一ヶ所に纏めさせた後――ミストの気絶魔法ワーウルフの群れを一斉に気絶させる。ミスト、それにサン……ううん、みんな、僕に渇を入れてくれて……ありがとう……!!」 深呼吸をした後、僕がガルフを囮にしてワーウルフの群れをミストの魔法で一斉に気絶させるという作戦を行うという決意をした事に対して、仲間である皆が賛同し協力しようとしてくれている事に感謝するのだった。
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