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朝――そして、謎の宝箱①

※ ※ ※ ――チュン、 ――チュン、チュンッ…… 「ねえ――ねえってば、起きてよ……ユウタ……マコト!!」 「まったく、二人揃って油断しきった顔をして――また、いつ敵に襲われるか分からないというのに……」 「こいつらが起きる前に、これから進む道に危険がないか見てくるとしよう。貴様らは、こいつらの事を頼む。先に偵察に行ったヒキタとライムスの事も……気になるしな。」 ミスト・サン・ガルフのどことなく呆れているような声が、まだ夢見心地でボンヤリとした僕の頭の中に響いてくる。 (んん……もう、朝か――皆はすでに起きてる……僕も……そろそろ起きなくちゃ……っ…………) そう思い――僕が何とかゆっくりと目を開けた時、 「…………う、うわぁぁぁぁっ!!」 僕らが今いる場所よりも、少し離れた場所から急に引田の叫び声が聞こえてきて、目は開けたものの未だに寝惚けていた僕は慌てて飛び起きてしまう。ふと、隣に目線を移すと――誠も僕と同じく今の引田の叫び声で、がばっと飛び起きた事に気付くのだった。 ※ ※ ※ 僕らが急いで引田の叫び声が聞こえてきた場所へと行くと、オロオロとして困惑しきっているライムスと――何故か、金髪碧眼の美少年にギュッと抱き締められている引田に気付いた。 その状況が今イチ理解できない僕はライムスと同じくらいに困惑してしまう。そして、改めて引田を嬉しそうに抱き締めている美少年の方を見てみる。 すると、その美少年が普通の人間ではない、と確信する。何故なら本来の人間なら二本の足がある筈の美少年の下半身は、豪華絢爛な宝石が施されている赤色の宝箱であり、ほとんどの種族なら存在するべきはずの足というものが存在していないのだ。 「ヒキタ…………どういう事かミストに説明して。何で、《ミミック坊や》に引っ掛かったの!?それに、何でそんなに嬉しそうに鼻の下を伸ばしてるのか……ミストに説明してっ……!!」 「ご、ごめんなさい………ミスト様!!」 どことなく怒ったような声を出しながら、ミストが《ミミック坊や》と呼ばれた赤い宝箱から引田を強引に引き剥がすのだった。

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