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【ネムラ】の世界① ※ミスト・引田side

※ ※ ※ リィィーン――ゴォォーン―― ガァァーン―― ゴォォーン―― 意識を取り戻し、目を覚ました引田の耳に――下手すると鼓膜が破れてしまうのではないか、という程に大きな鐘のような音が入ってきた。 余りの大きな鐘の音を耳にし、思わず飛び起きてしまった引田は不快な表情で顔を歪ませつつも慌てて両手で耳を塞いだ。 そして、辺りを見回した――。 そこは先程いた廃業となった筈の観覧車の中ではなく――しかも【夢見がちな女の子】も【ピンクのうさぎの着ぐるみ】も姿を見せなかった。得たいの知れない奴等だと引田は思っていたが、今までいた筈の彼等の姿が見えないということに対して新たに不安を抱いてしまう。 ターン♪~タタターン♪♪♪~ ターン♪~タタターン♪♪♪~ ふいに、どこかから―――ピアノの音が聞こえてきた。先程の鼓膜が破れてしまいそうな鐘の音は、引田が不安から悶々としている間に、とっくに鳴りやんでいたのだ。 そして、唐突のピアノの音に引田がビクッと体を震わせてから音が聞こえてきた方へと顔を向けた時―――この場所がどこなのか、ということに引田は今更ながら気付く。 ―――ここは、かつて引田が過ごしてきた前の世界の学校の中に存在していた――引田がこの世界に来る前に老朽化により取り壊されてしまった筈の旧校舎の体育館だ。 (な、何で……こんな所に!?しかも、さっきのピアノの曲……あれは、あの曲は…………) ――ギュウッ…… 引田が今の状況が余りにも奇妙で訳が分からず心の中で葛藤していた時――急に誰かから無言で手を握り締められた。 ――しかし、今いる場所が暗いせいで手を握り締めてきた相手の顔までは分からず、またしても、不安を抱いてしまう引田なのだった。

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