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【笛吹男】と【ピエロ的ゾンビ男】と【イビルアイ】のミラーハウス
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サンとライムスがドッペル虫もドラゴンの白銀の爪も消え去り、静寂に包まれた子供部屋にて唖然として少し経った頃、別の場所では3人の男達がサン達とは別の意味で静寂に包まれた部屋で立ち尽くしていた。
【全く―――アダム、君には失望したよ。イビルアイを、きちんと監視しきれなかったのは―――主人である君に大いに責任がある。前の世界でも、そういう風に教育していた筈だが―――理解しきれていなかったのかね?】
【ご、ごめんなさいっ……ダディ…………今度こそ、きちんとするから……新しい弟になった狼のお兄ちゃんを連れて……必ずヤツラを始末するから……だから、許して……許してください!!】
【笛吹男】は決して部下の失態に対する怒りを顔には出さない――。
しかし、それでも――目は笑ってはいない。氷のように冷たい瞳で目の前でガタガタと身を震わせている【ピエロ的ゾンビ男】の姿をジロリと睨み付けてくる。
―――グイッ
――――グシャッ!!
【お仕置きだよ――夢々。おっと、君はこの名前で呼ばれるのは嫌いなんだったね――でも、それよりも君には必要のない物が他にある。目だよ、イビルアイを監視できない目など必要ない。まあ、どうせすぐに治るのだから――抉りとった所で痛くも痒くもないのだろうけどね?】
【………っ……ごめんなさい……ごめんなさい……ダディ……もう一度……チャンスを……くださいっ……!!】
己の目を抉り取られ、軽くとはいえ足で踏まれて蹲っていた【ピエロ的ゾンビ男】が苦し気に唸ると、穏やかな笑みを浮かべながら――【笛吹男】が【ピエロ的ゾンビ男】の体を優しく抱き締めた。
【ごめん……ごめんよ、夢々。君には私しかいないし、私には君しかいないのに。仲直りをして、《パレード》をしようじゃないか。そして、私達でヤツラを始末するんだ】
【は、はい……愛しいダディ……今度こそ、きちんと【イビルアイ】を……監視します……イビルアイ、いつまでボクの目に隠れているの?】
その【ピエロ的ゾンビ男】の言葉を聞いた途端に、床に無造作に転がっていた彼の目玉が赤く光り、サンが鏡で見た赤い邪悪な目とソックリな姿へと変貌するのだった。
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