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一行に襲いかかるは――大海蛇⑤

「あそこ、あそこだよ―――何か変なのが泳いでる……っ……」 「あれは……何だ!?クラーケ……いや、にしては……形が細長すぎる……巨大魔魚か!?いや……それにしては……全身の大きさが全然違うな……っ……」 ―――引田の慌てふためく声。 ―――普段は冷静な彼にしては珍しく御手上げだ、といわんばかりにぶつぶつと呟き続けているサン。 ―――そんな主人達の様子を見て、オロオロするばかりのライムス。 そんな仲間達を尻目に―――ミストは石像と化してしまったシリカの周りを優雅に泳ぎ回っている謎の巨大生物の動向を伺い続ける。 ザザザザ~ッ――― 【人魚のように優雅に泳ぎ続け―――】 グモォッ―― 【唐突に水面が大きく盛り上がり―――】 ザバァァッーンッ―――!! 【石像と化してしまったシリカを再び捕らえるべく水中から勢いよく飛び上がり姿の一部を地上へと現す―――】 「蛇だ……そうか、あのコカトリスの一部だった尻尾が……ミストが託した魔法でユウタが石化させる前に自力で体をひきちぎって切り離したんだ!!なんて奴……この期に及んでミスト達に襲いかかってこようなんて!!」 「しかし、ミストが言う事が本当だとしても、何故――奴はあんなに巨大化したんだ!?」 「シリカ様を噛んだ………血――石像――そうか、多分だけれど奴は由緒正しい王族であるシリカ様を噛んで、その血を吸って―――王族特有の膨大な魔力を吸い取ったんだ。だから、巨大化した……シリカ様は幼い頃から《巨大化と融合》に関する魔力が半端なかったから…………」 そんな風に訳のわからない話をしているミストとサンとは別に―――引田は巨大生物を目の当たりにし、動揺しつつも頭の中で必死に考え込んでいた。 (あんなに巨大だとミストの魔法でも接近戦じゃないと厳しいはず……問題はどうやってあんな巨大で気味の悪い奴に近付くかどうかだけれど……う~ん……何か、何かないか―――利用できるモノでもいいから……っ……) ―――と、その時だった。 考え込んでいる引田の目に――すっかり燃え尽きてしまったせいで真っ黒となり辺りに強烈な焦げ臭さを放ち続けている栄華を失ってしまった大樹の周辺でマイペースで跳びはねているせいでる謎の生物の姿が飛び込んできたのは―――。

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