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一行に襲いかかるは――大海蛇⑥

(―――あの大ガエル……まだ、あんな所にいたのか……って__待てよ、あの水上を自由に跳びはねてる大ガエルをうまく利用すれば……もしかしたら接近戦に持ち込めるかもしれない……とりあえずの問題は――どうすれば、あの大ガエルを名付けれるかってことなんだけど……っ……) 引田は強烈な焦げ臭さを放っている大樹の真下で跳びはねている大ガエルをひたすら観察する。 すると、大ガエルが今までにない行動をしている事に気付いた。 ―――大ガエルが身を乗り出しながら大量の以津真天の死骸が浮かんでいる水面を覗き込んだ。 「グェェーコ……グェェーコ………グェェー……ッ…」 パッと見たところによると――どうやら体だけでなく、その大きな口を開きながら――大ガエルは鳴き声をもらして水面を覗き込んだままのようだ。 その様子を見て―――ピン、ときた引田は未だに黒い影に怯えているミストの方へと振り向いた。 「ミスト―――大ガエルの好物って何!?」 「え、ええ……っと……キィーナ虫の幼虫だけど……それが何なの……ヒキタ?」 ミストが唐突に尋ねてきた引田に怪訝そうな表情を浮かべながら答えた。 (出来れば念のために取っておきたかったけれど仕方がないーーコレを使うなら……今しかない…………コレ、前に商人から買っておいて正解だった……うまくいくといいけど……っ……) そんな事を思いながらも引田は懐から、かつて優太達とミラージュで出会う前にエルフが統治していた村に来る商人から買っておいた―――とある魔道具を取り出し、困惑しきっている仲間達へ己の作戦ともいえる考えを耳打ちするのだった。

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