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いったい何をしにこの場所までやって来たのか。真尋はやって来た人間に驚いた。
「誰だ」
「私は白 弓月 と申します。陰陽道を司る者にございます。此なる者は災いを持つと言われている狐の化け物でして。力ない者はすぐに取り殺されてしまいます。――実は先刻、町名主から依頼を受けておりまして、引き取りに参りました」
果たして彼は何を言っているのだろうか?
真尋は男ふたりに与えられた腹の痛みがあまりにも大きすぎて弓月が何を言っているのか、上手く聞き取ることができなかった。
鈍い痛みでぼやける視界の中――真尋が見たものは、弓月は薄い唇に微笑を浮かべ、鉄砲を持つ男ふたりに頭を下げた姿だった。しかし、彼の目はけっして笑っていない。怒りが体の内から滲み出てきている。それは男どもにも判ったのか、彼らは手にしている鉄砲の先を弓月に向け、威嚇する。
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