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第22話

とりあえず来たくもない飲み会に参加した。 「お酒強いんだね。」 「飲み会参加久しぶりじゃない?」 「彼女がいるって噂、本当?」 「どんな子がタイプ?」 一人で飲んでたら、女が集まってきた。 俺、普通にモテるんだ。 別に歩に執着する必要はない。 一人の女が腕を触って、胸を押し付けてきた。 …………これが歩だったらな。 こんな積極的な事されたら、その場で襲う。 あぁ、嫌だな…… また歩のことを考えてる。 高校生の頃 アイツに浮気されてから、ずっと恋愛する事が怖かった。 よく知らない誰かを見つめて触れて 気が合えばワンナイ卜。 薄っぺらい関係を繰り返してきた。 ……………でも、気付いてしまったから。 抱き合うと心が満たされる。 目が合うと胸が高鳴る。 歩を想うと、言葉に出来ない想いが溢れそうになるんだ。 「一途で優しくて、普段は照れ屋。笑った顔も泣いた顔も可愛い子……かな。」 タイプ? いや。違う。これは歩の事。 「それって……」 「なんだ!本命いるんだ!」 「狙ってたのに〜。」 出会った時から俺の負けだった。 泣いた顔が気になる。 もう一度話したい。 ……………………やめとけばよかったのに。 少しずつ、表情が出てくるのが嬉しくて、それはもう中毒のように会うのをやめられなかったっけ………… 一途で優しい歩。 俺の入る隙間がない事は分かってた。 ………………馬鹿みたいだろ。 それでも、お前に会いたかったんだ………… ただ会いたかった………… 取り返しがつかなくなったのはいつだっけ? 海で泣いてる所が気になって? バーで再会した時?  初めて寝たあの日……? それとも、繰り返すうちに? でも多分。 …………初めて、お前が笑ってくれたあの時。 ……………側にいるだけで良かったはずなのに。 俺が冷たくしたら、歩、悲しそうな顔してたな…… 「………………俺、今日は帰ります。 ちょっと調子悪くて。」 「えー。まだ全然飲んでないじゃん!」 「そうだよ。一時間も経ってないし!」 引き止められたけど店を出た。 「体調悪いなら、送ってあげるよ。 一人で帰すの、心配だから。」 付いて来たのはわざとボタンを外して、色気を振りまく女。 「…………俺。」 断ろうとしたら腕を引っ張られた。 「俺が送るから大丈夫です。」 なんで、ここに? 「…………歩。」 女が残念そうに店に戻っていく。 何故か、そこには会社前で別れたはずの歩がいた。

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