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第27話

「もう、これで他の奴の所に行けないだろ。」 「何してんの。歩。」 付けられたキスマーク。 訳が分からなくて歩を見つめる。 「お前なんて、キスマーク見つかって振られればいい!」 …………いや。付き合ってないけど。 なんで怒ってんの。歩。 それじゃ、まるで…… 「責任取れよ! 俺の事、駄目にしといて今更……なんで……」 歩の目に涙がたまる。 「歩……」 なんで泣いてるの…………? 「俺、嫌だ……」 歩は目元をこすりながら必死に言葉を繋ぐ。 「お前が……優しくしてくれたから、俺……」 ハラハラと落ちる涙。 震える手で涙を拭う。 『優しくしてくれたから』? 自分の息をゴクリと飲む。 不意にギュッと手を掴まれた。 涙目の歩と目が合い、自分の鼓動が早くなる。 「………………お前が好きなんだ。葉月。」 信じられない言葉が聞こえて、ただ呆然とするだけだった。

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