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結局、ダンスの練習より、雑談してる時間の方が長かったかもしれない。 結城は漫画が好きらしい。 それもかなり詳しいようで、俺の世代に流行った漫画も結構知っていたが、最近の漫画を俺は知らなかったので、ジェネレーションギャップを感じてしまった。 楽しい時間というのは、本当にあっという間だ。 結城も、もしかしたら同じように思っていてくれているのだろうか。 「あの、先生…」 帰りの車内、助手席から結城が声をかけてきた。 「ん?どうした?」 「この間くれたピーナッツバターのパン、すごくおいしかったです」 「お、そうか。よかった!今日も買えばよかったな」 「あの、僕、お礼にクッキー持ってきたんです」 結城は、鞄から小さな袋を取り出した。 もしかして… 手作りか!?

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