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Side 山口陽佳
空の部屋で荷造りをしていると、空が帰ってきた。
「先生、ただいま」
「おせーよ、俺にばっかやらせてないで、荷造り手伝えよな」
愚痴る俺に、はいはいという感じで荷造りを手伝い始める空。
っていうか、そもそもお前の荷物だぞ、空。
「そのストリート仲間ってのには会えたのか?」
「うん、挨拶してきた」
空はそう言いながら、額の汗を拭った。
今日は真夏日だ。
天気がいい。
「ねぇ、先生。僕達本当に一緒に暮らすんだよね」
「そうだよ、今更何言ってんだよ」
「なんかさ、教師と生徒だし、本当にいいのかなぁって」
「その話、もう何回も聞いてるぜ。そんな細かい事はいいんだよ。ただ、学校では一応内緒な。バレると生徒達がうるせーからさ。俺ら2人の秘密ってことで」
「うん、わかった」
「2人だけの秘密って、なんかいいよな」
「そう?あ、先生、そのガムテープ取って」
空は、荷造りに集中し始めたのか、俺の話を適当に流し始めた。
「お前なぁ…、ほら、ガムテープ」
と言ってテープを渡そうとした。
手を伸ばした空。
その手を掴んでぐっと抱き寄せた。
「ちょ、せんせ!暑苦しいよ」
「なぁ、空。そろそろその"先生"ってのやめようぜ。下の名前で呼べよ。ひよしってさ」
「う…、ひよし…さん」
空は俺の腕の中で、少し照れたように俺の名前を呼んだ。
「なんか、ぎこちねーな。ま、最初はそんなもんか。」
そう言って、俺は空にキスをする。
空もそれに答えてくれる。
俺たちは長いキスをした。
部屋には、真夏の陽が差し込む。
空は快晴だった。
END
✻✻✻✻✻
ありがとうございました。
番外編はアルファポリスの方で連載しています。
https://www.alphapolis.co.jp/novel/79332834/885173973
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