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それから1ヶ月が経った。
僕は、いつもの駐車場で、サキヤと待ち合わせをしていた。
そういえば、昼に会うのは初めてだ。
「よぉ、空」
サキヤがやってきて、拳を僕に向けた。
僕もその挨拶に拳で答えた。
「サキヤ、どうしたの!?その格好」
サキヤは、なんとスーツ姿だった。
ドレッドヘアーもやめ、黒髪短髪の好青年になっていた。
「就職活動してるんだ」
サキヤは短く答え、ふっと笑った。
「サキヤ、スーツかっこいいよ」
僕は素直にそう言った。
「さんきゅ!」
サキヤも嬉しそうだった。
「空、なんかスッキリした顔してるな」
「そうかな?でも、そうだとしたら、サキヤが僕を後押ししてくれたお陰だと思う」
「こんな俺でも、お前のきっかけになれたのなら嬉しいよ」
サキヤは優しく微笑んだ。
やっぱり、サキヤはお兄さんって感じだ。
「僕、引っ越す事にしたんだ。学校は変わらないけど、ここからは少し離れる」
僕は言った。
「そっか、寂しくなるけど、頑張れよ。」
「うん、サキヤもね」
僕とサキヤは、また拳と拳で挨拶を交わした。
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