「ねえ、その熊谷先輩って、そんなに強そうなの？」 「うん。黙ってたらちょっと怖い」 「男子には崇拝してる人たちもいるみたいだけど」 「ふうん。ちょっとよく観察してみよう」 「あ、めえちゃん」 「近づいたら駄目だよう」 　男子に崇拝されている、か。 確かに見ず知らずの僕を抱きかかえて保健室に運ぶぐらいいい人だもんね。 だけど僕は良い人には興味がない。 大切なことは、一つ。この先、ずっと一緒にいるパートナーに大切なことは一つ。 体の相性だよ、相性。 この僕を、勃起させた罪は重い。 同性に反応してしまった僕の行動は一つ。 まずはあの熊谷先輩に近づくってこと。 今度は邪魔されない、じっくり時間の取れる場所で、ちゃんと本当に体の相性を確認するってこと。 それから結婚へ向けてちゃんとお付き合いをスタートさせる。 あと腹筋をなめてみたい。 ただ、それだけだった。