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第120話
むむ。
「熱いっ」
なんだこの熱帯夜は。
先輩が隣に眠っていないのに、なんでこんなに熱いの。
暑いじゃなくて、火に炙られるような暑さだ。
飛び起きてみると、弟三人に乗られていた。
これは確かに暑いわ。しかも窓も締め切ってる。
「……」
実家に帰って寝た方が鍵もかかってふわふわのベットで誰にも干渉されなくて、誰にも会わなくて、誰とも会話しなくて楽じゃないか。
先輩がいないなら、さっさと家に帰ればいいし。
溜まったら、僕の巨根でもいいよって女の家に転がり込めばいい。
なのに、僕は女々しく先輩の点数稼ぎしようと家で弟たちの世話しちゃってさ。
心配だから世話してるわけじゃない。この弟たちくんは、商店街のおばちゃんたちとの接し方を熟知していて可愛がられてるし、お父さんだっている。
僕は彼らのためじゃなく、お世話したら先輩が少しは許してくれるかなって浅ましい考えで残っている。
こんな僕だから、好きになってもらえるわけないんだ。
先輩は、まっすぐで嘘がなくて優しい人だから。
「んん、あつい」
「み、みず」
「みみず」
三人が次々に寝言を言い出したので、可哀そうで窓を開ける。
すると、窓を開けた方がむわっと熱気が広がって驚いた。
それどころではない。黒い煙が入ってきて視界が遮られたので慌てて閉めた。
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