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第121話

「ナニ、今の」 夜だから真っ暗ってわけじゃない。この真っ暗な煙は、どこか火事なのかもしれない。 下に降りると、下の換気扇から黒い煙がはいり、階段の途中までしかいけなかった。 「これ……火事?」 どこから火事なのか、隣におじさんがいないということはラーメン屋? 携帯で消防に電話したら『今、数件の連絡があり向かっています』と事務的な返事が入ってきた。 「あの、二階に居るんですが一階が煙で見えなくて降りれないし、二階の窓を開けたら煙が酷くて」 『お宅の庭の風呂場から出火していると連絡をいただいています。一階は煙が充満しているのなら危険ですので、反対側の窓がないか確認お願いします』 ひいい。 僕、今、火事の現場にいるってことなのか。 急に現実を把握したら背中がぞくっとした。 弟くんたちは先輩の弟だけあって肝が据わってるのかこんな状況でも起きないのは幸いだ。 騒がれたりパニックになったら大変だもんね。 廊下にでて、庭と反対側の窓を開けると、すでに商店街の人たちが大勢いるのに驚いた。 全然声が聞こえなかったのに、よく聞けば遠くで消防車のサイレンもしている。 「おい、舎弟。そこに商店街中の布団集めるから飛び降りれるか!」

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