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第122話

商店街の、眼鏡屋さんやらお魚屋さんやらのおじさんたちが次々に布団を運んできてくれた。 なので、僕は眠っていた弟くんたちを一人一人起こしてから布団に投げ落とした。 目が覚めてすぐだったので、弟くんたちは驚いて泣き出したけど、一番最後に飛び降りた僕が抱きしめて頭を撫でてあげた。 「消防車は?」 サイレンはするのに、なぜか近くに消防車が見えなかった。 「それが、商店街の道が狭くて、迂回してるみたい」 「そう……ですか」  あたりを見渡すと、ここ数日で仲良くなったお弁当屋さんや定食屋、よくラーメンを食べにくる仕事終わりのおじさんとか学生たちとか、知っている顔ばかりだった。 でも……。 「あの、先輩のお父さんは?」 「ええ?」 「あ、ラーメン屋の、店長の……」 「私たちは、君の後に熊谷さんも飛び降りると思っていたんだけど」 だから、こんなに沢山布団を用意してくれてたのか。 でも……二階にはいなかった。 先輩のお父さんが辺りに居ない。 飛び出して道路から覗いていた野次馬を見るが、おじさんがいない。 ラーメン屋の方は火が回っていないし鍵はかかっているけど、もしかして一階で倒れているってこと? 「一階に、おじさんがまだ残っているかもしれない!」 僕の声に、野次馬たちが一斉にざわつきだした。

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