14 / 348
6
暴かれていく。
自分でも知らないような、奥の奥。
熱を帯びたその楔が、俺を奥深くから支配していく。
ソレが動くたび、頭が真っ白になって何も考えられなくて、
ポロポロと涙が零れていった。
頬を伝う涙は熱いのに、頭が真っ白で、何も考えられなくて怖い――。
泣いても、その涙を拭ってくれる指先が優しくても。
奥を穿つその動きに声も身体も支配されて、苦しい。
「あ、っぁ、くるしっ」
「シーツの上を這う黒髪が綺麗だ」
「ひ、ぁぁ」
目を見開いたら、大粒の涙が零れた。
こんな、こんな、気持ち知らない。
こんな快感、知りたくもない。
泣いても、懇願しても、立花さんは止めようとはしなかった。
きっとこの人は、俺が嫌いなんだ。
俺を従わせる為に、もっとも屈辱的で酷いことをしようとしてるんだ。
優しくなんて、ない。
「ぅうっ」
悔しくて悲しくて涙が零れてくる。
「――痛いのか?」
動いていた腰を止めて、立花さんが俺の額の髪を払う。
「ひ、どいで、す。もう、――ゃだ」
フルフルと首を振ると、立花さんの顔が曇った。
露骨に嫌そうな顔をしている。
「泣いても、離してやらない。お前は俺のものだ」
額に落とされた優しい口づけは、――この行為とは真逆で。
「俺はお前が必要だ。だから、抱く。慣れろ」
「―――――ああっ!」
熱い楔が、さらに大きくなって、俺の中を圧迫するのを感じた。
声が、声にならずパクパクと口を開けては消えて行く。
俺の声は彼に届くのだろうか。
振りほどく為に、しがみついていた立花さんの腕から手を離し、顔を逸らす。
この人からも俺は嫌われているけれど、
それでも必要とされているのなら、
この仕打ちを慣れて行かなきゃいけないんだ。
ともだちにシェアしよう!