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side:愛沢 榛葉
まだ身体が震えていた。
藤宮さんが銃口を此方に向けたと思ったら一瞬だった。
よく、覚えていない。
ただ立花さんが俺の腕を引っ張って藤宮さんに見せつけた。
『コイツの腕を折るぞ』
立花さんの片手で簡単に握り潰されそうで――でもそんな事しないって信じたくて、俺は不安げな顔をしていたんだと思う。
藤宮さんは泣き出しそうな顔で俺を見て『助けてあげるからね』と呟くと、銃口を此方に向けたまま走り出した。
半分の黒服の部下は彼を追い、もう半分の部下は菊池さんに駆け寄った。
「ふぅ。急いで鑑定に回して」
その意味が俺にはよく解らなかったけれど、寒田さんが菊池さんが防弾チョッキを着ていたんだろうって教えてくれた。
「今日はもう……優征は仕事で帰れないかもしれないね」
案内された寒田さんの家でそう言われて、内心喜んでしまった俺がいる。
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