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「…………」 「ゆかりさんが優征に榛葉くんを会わせたかったのは、君にもっと痛みを知って貰いたかったんだろうけど……。榛葉くんが傷ついてばかりだと俺が本当に引き取りますから」 「ふ。じゃあ榛葉が俺から離れていけないように縛り付けるだけだ」 「優征!」 緑の大声に驚いた榛葉が、熱でうなされた眼差しで俺にすがる。 「んっ」 緑から熱冷ましシートを貼った額を触ると気持ちよさそうに目を細めた。 「此方から攻撃をしかける」 これ以上、榛葉を此処に閉じ込めておくのは酷だと認めるしかない。 「佐之助さんが密輸している拳銃と一致したんですね?」 緑が息を呑む。 拳銃の入手ルートなんざ数えきれる程だ。限られている。 「いい加減、まどろっこしいのは性に合わないからな」

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