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第164話
Side:愛沢 榛葉
直球な立花さんの言葉に、思わず顔が真っ赤になってしまう。
身体中の血と言う血が、頬に集中した気がする。
起きたばかりの立花さんは、いつもきっちり後ろへ流した髪をセットもせずに(当たり前だけど)ちょっとだけ気を許してくれているというか、リラックスしているというか。
前髪がある立花さんは可愛い。
とか思ってしまう自分が本当に嫌だ。
「ほ、んとうは」
言いたくもないのに、真実がぽろりと零れ落ちてしまう。
「本当は怖い。まだ、怖い。もう、二度とあんな油断して浚われるのが怖いから嫌だ」
足を無理矢理広げられる感覚、銃口を中へ入れられて掻きまわされる記憶。
全て抱き締めて忘れさせてほしいと思っている。
あの睡眠薬のカプセルを飲み込んでから、熱が上手く放出してくれないような、身体を燻る熱が、俺の芯を硬くさせる。
今すぐ、全部忘れさせて。
全部、拭って。
「頭が真っ白になりたい」
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