164 / 348

第164話

Side:愛沢 榛葉 直球な立花さんの言葉に、思わず顔が真っ赤になってしまう。 身体中の血と言う血が、頬に集中した気がする。 起きたばかりの立花さんは、いつもきっちり後ろへ流した髪をセットもせずに(当たり前だけど)ちょっとだけ気を許してくれているというか、リラックスしているというか。 前髪がある立花さんは可愛い。 とか思ってしまう自分が本当に嫌だ。 「ほ、んとうは」 言いたくもないのに、真実がぽろりと零れ落ちてしまう。 「本当は怖い。まだ、怖い。もう、二度とあんな油断して浚われるのが怖いから嫌だ」 足を無理矢理広げられる感覚、銃口を中へ入れられて掻きまわされる記憶。 全て抱き締めて忘れさせてほしいと思っている。 あの睡眠薬のカプセルを飲み込んでから、熱が上手く放出してくれないような、身体を燻る熱が、俺の芯を硬くさせる。 今すぐ、全部忘れさせて。 全部、拭って。 「頭が真っ白になりたい」

ともだちにシェアしよう!