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第274話

ヘアカットの依頼:立花優征(73) 『榛葉君? 笑ってますか』 電話の向こうの菊池さんが不思議そうに言うので、自分が笑っているのを気づいてしまった。 「だって、だって、立花さん、俺が在宅介護の方の出張美容師って知っているからか、年齢詐称してます!」 『へー、何歳ですか』 「73歳ですってっ」 『きっちりの数字じゃない辺り、小賢しいですね』 菊池さんの発言に、またお腹を抱えて笑ってしまった。 先輩が待って居なかったら、床に転がって笑っていたかもしれない。 『太陽の様に笑っているんでしょうね。私まで逢いたくなりましたよ』 「菊池さん」 『社長も変わっちゃってびっくりですよ。慈善事業まで始めちゃって。老人ホームの建物の修繕やらボランティアの派遣とか、あの人が利益にならないことをするんですよ。そろそろこの世の終わりかもしれませんね』

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