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第1話

◇ ◇ ◇ 「おい……有栖川―――今日の放課後、美術準備室まで来い」 「えっ…………で、でも……今日は―――大事な用が……っ……」 あるから無理なんです、と言おうとしていた僕の様子などお構い無しだといわんばかりにチラッと此方を一瞥した変人教師【猫山】は美術の授業が終わったとたんに、それだけを素っ気なく告げるとさっさと踵を返して美術室から出て行ってしまった。 「おい、見ろよ……名前負けのアリサの奴が変人教師の猫山と話してるぜ……ヒクわ。つーか、あいつら似た者同士でどっちもキモいよな……」 「そういう事言うなよ……つーか、お前―――キモいだのなんだの言うくせに、やたらと名前負けアリサちゃんのこと気にしてるよな~……」 【名前負けのアリサ】―――それが俺のクラス内でのアダ名だ。【有栖川 朔夜】という名前の割りに地味でオタクでどちらかといえば消極的な俺はクラス内のからかいに相応しい格好のターゲットにされているのだ。 そんな子供じみたからかいは無視するのが一番だ、となるべく気にしないようにしているものの―――特にクラスメイトで仕切り屋の【兎耳山 雄大】は事あるごとに何かとからかってくる。今も、クラスメイトの内の一人で爽やかで人気者な【赤城 竜也】と俺の悪口を熱心に話していてつい気になってしまった すると―――、 「なっ……なんだよ、こっち見てんじゃねえよ……っ……いちいちキモいんだよ……この名前負け野郎がっ……」 「…………」 いちいち相手にするのも面倒なので軽くため息をついてから今まで使っていた美術用具を整理し終えてカバンの中へ仕舞った後でそれを持ち上げようとした時、思わず手を滑らせてしまいカバンを床へと落としてしまった。 「相変わらず、だっせ~な。あっ……おいっ……竜也……そんなドンクサイ奴―――放っておけよ……!!」 と、俺をからかう兎耳山の喧しい声が聞こえてきたと思った時には既に赤城が身を屈めながら不注意で落としてしまった教科書やら少女向けのファンタジーを基盤としたアニメ本(持ってきている暇潰し用趣味全開のものだ)を拾ってくれた。 「アリサちゃんは……女の子が好きそうなファンタジーアニメをよく見るんだってね……なんか可愛いよ」 「えっ……で、でも……男がこんなの好きとか……キモい……だろ?」 「そんな事ないよ。兎耳山の意地っ張りな言葉なんて気にしない方がいいと思うな―――それじゃあ、美術の補習頑張ってね」 そんなやり取りを赤城とした最中―――何だか鋭い視線が気になるな、と思った俺はふいに目線をそちらへと向けてみた。すると、兎耳山が物凄く怖い顔で此方を睨み付けていたのだ。 (きっと……クラス内で人気者として通ってる赤城くんが俺に構うのが気に入らないんだろうな……) そう思いながら―――簡単に感謝の言葉を赤城くんへと述べた俺は彼の言葉通りに憂鬱な気分で変人教師【猫山】が痺れをきらして待っているであろう美術準備室へと渋々向かって行くのだった。 ◇ ◇ ◇ 「遅いっ……遅すぎる……っ……計算すると1分23秒の遅刻だ……まったく……君はだらしないな……だいたい……授業中も居眠りしたり本を読んだり……私が気付かないとでも思ってるのか?」 「ご、ごめんなさい……っ……先生……っ……んっ……あっ……」 ―――ダメだ。 ―――どうしてもゾクゾクしてしまう。 こんな変人教師で蛇みたいにしつこい奴の事なんて大の苦手な筈なのに―――。こいつのこの渋い重厚なヴァリトンボイスで叱られてしまうと途端に全身がゾクゾクして快感に支配されてしまうのだから俺もある種の変態なのだと思う。 しかもズボンで何とか隠れているとはいえ―――今、俺の下半身でビクビク震えているチンポは既に勃起状態で、いつ欲望という名のミルクが爆発して噴射してしまってもおかしくはないのだ。 「どうした……有栖川―――まさか熱でもあるのか?まったく……君は体調管理すらろくに出来ないのか……っ……そんなだらしのない君にはお仕置きが必要なようだ……服を脱げ……むろん、全部だ」 「せ、先生……っ……流石にそれは……恥ずかしい……です……っ……」 「何故、恥ずかしいのだ?私のペットとなる予定の者に服などは必要ないだろう?それすら分からないのか……この愚か者め……っ……」 そんな叱責の言葉を聞いただけなのに、俺は欲望をコントロール出来ずにズボンの中で射精してしまう。そんな俺の様子に気付いたかは知らないが―――猫山の視線が下半身へと集中し余りの快感に遂に我慢しきれなくなって勢いよく服を脱ぎ始める。 「せ、先生……っ……んっ……めちゃくちゃにして……っ……その素敵な声で……僕の脳内も犯してください……っ……あっ……んっ……ま、またイッちゃう……っ……見て、僕の全部を……見てっ……」 「ふん、そのまま―――続けなさい」 グチュ……クチュ…… 淫靡な水音を響かせながら命じられた通りに夢中でオナニーをし始める俺を無表情で一瞥してから、ふいに奴が黒板の方へと歩いていく。そして、赤いチョークで訳が分からないもの(魔方陣のようにも見える)を描くと再び此方へと戻ってくる。 コンッ……コン、コン…… と、猫山が手に持っている赤いチョークで黒板に描かれている魔方陣らしきものの中央付近を何度か叩いた瞬間―――辺りが眩い金色の光に包まれてしまうのだった。

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