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第4話
宮川は口の中の有希の精液を手に出して有希の穴にそっと乗せた。
そしてマッサージするように周りをくるくると撫でた。
「怖い?」
耳に口を寄せて小声で聞いてきた龍さんは有希を好きなのが伝わってくる優しい目をしていた。
「怖くない。龍さんとなら…怖くないよ」
同じく小声でまだ全く乱れていない襟元を掴んで答える。
「でも」
「でも、何?」
「龍さんも服、脱いで。僕だけ乱されて脱がされて恥ずかしい」
微笑みを深くした龍さんがが確かに暑いな、と呟いて大胆にシャツを脱ぎ捨てた。
そんな仕草すらも愛おしく感じることに恥ずかしさを覚える。
シャツを脱いだせいで今まで隠されていた6つに割れた腹筋が見えてどきっとする。
本当にこの人は一生懸命な人なんだなあとこんな時には場違いなことを考えていると、龍さんの手がそっと僕をひっくり返した。
龍さんの顔は見えなくなって代わりに白いシーツが見えた。
緊張してシーツを少しだけ握る。背後で龍さんの気配が動いて
「あっ!?」
後ろに指を1本入れられたのがわかった。
きっつ…なんて声が聞こえて余計龍さんの指を締め付けてしまう。
「動かしていい?」
少しニヤっとしている龍さんを振り返って睨みながらどうぞと不貞腐れたように答えたら
「拗ねるなよ。あとそんな涙目で睨んでも余計…ね」
と微笑まれてされてなんだか腹が立つ。
龍さんだけが余裕そうな顔をしてる、僕はこんなにもいっぱいいっぱいなのに。
入れられたことのない場所に龍さんの指が入っていて別の生き物みたいに動いてるのがわかる。時々感じるところがあってビクビクと腰が動く。
さっきまで違和感で萎えていたモノも緩くたちあがりだしていて足を擦り合わせる。
「あっ、ふぅぅ…」
前触れ無く、中の感じるシコリを指で押されて喘ぎが漏れる。
2本目、行けそうだな、なんて龍さんが言っていたものだから反射的に身構えると龍さんの手が頭に置かれてくしゃくしゃと撫でられた。
「痛かったら言えよ?俺は痛いことがしたいわけじゃないし出来れば藍染…有希にも気持ちよくなって欲しい」
どくんっ。名前で呼ばれてついモノが脈打つ。
反則だ…こんな時にこんな…。
しかも龍さんは僕が感じてるのに気づいてる。
それなのにさっきから気づかないふりをしてるのだ。つくづく意地の悪い人だ。
ただ、こんな意地の悪さも普通に上司と部下、あるいは仕事上のパートナーとしてやっているだけでは知ることのなかった一面でそれを知れて嬉しいと思ってしまう。
もう僕は末期なんだろうな…そう思いながら段々慣れてきた龍さんの指の動きを中で感じた。
「もう4本入ってるの、わかるか?」
少し眉を顰めながら龍さんが言ってくるがそんなのわからない。
漠然と中で動いてる指がたまにポイントを擦って気持ちいいという感じがあるだけだ。
最初の頃に感じた違和感も大分なくなってきた。
龍さんも辛いだろうに僕を傷つけないようにゆっくりと進めてくれた。
こんなところが僕がもっと龍さんを好きになってしまう所以なのだ。
「龍さん…んっ…は…あっ」
気持ちよくて意識が飛んでしまいそうで必死に意識を繋ぎ止めながら呼びかける。
「どうした?痛いのか?」
少し心配そうな声が上から降ってきて小声で笑う。有希は振り返ると
「龍さんも…っ、は…ん…辛いでしょ?もっ、いいよっ?充分…んんっ、慣らしてもらった、から、ふぅっん」
龍さんの顔が驚いたように一瞬固まるのをぼんやりと見ていたが急に後ろから指が抜けた。
「うぁぁんっ」
「ごめん、余裕なくなってきた。有希。挿れたい」
龍さんの手は有希の汗で濡れて額に張り付いた髪を掬った。
「ん、いいよ…来て。僕、龍さんと、1つになりたい」
有希は嬉しくてひっそりと笑い返す。宮川は有希に秘所を突き出すような格好をさせた。
「恥ずかしいんですけど…」
つい敬語に戻ってブツブツ言っている有希に慈しむような視線を向けて首筋にキスをした宮川は先端を有希の中にツプリと埋めた。
「やっ…はぁぁんっ…くっ…はっ」
やはり指とは規格が違う。違和感と圧迫感でうまく息ができないのかはっはっと短い呼吸を繰り返している有希の背中を宮川がさする。
「やっぱりやめとくか…?」
あまりにも苦しそうでモノも少し萎えてしまった有希を見て宮川が声をかける。
しかし同じ男なのだから有希には龍さんが相当我慢して今も生殺し状態のまま自分を気遣ってくれていることを知っていた。
僕は龍さんと繋がれてこんなに嬉しいし何度も気持ちよくしてもらった。
だから少しくらい痛くたって龍さんと繋がりたい。
期待するようにうずく奥を擦ってもらいたい。
あぁ…きっと僕は龍さんのことを考えすぎて頭がおかしくなってしまったんだな、と心の中で苦笑した。
有希は宮川を再度振り返って小さな声で龍さん、と呼びかけた。
呼吸は大分元に戻ってきていた。
「龍さん、僕龍さんと繋がれるのがすごく嬉しい。自覚してから叶わないと思ってたこの気持ちが通じ合っただけでものすごく幸せなんだ…それに、龍さんはさっきから何度も気持ちよくしてくれた。だから…だから今度は龍さんが気持ちよくなって?少しくらい痛くたって僕は大丈夫だから…1つに…」
恥ずかしくなって最後の方はゴニョゴニョと濁す。
「っ…ごめん有希っ…」
龍さんのが一気に奥まで侵入してくる。暴かれるような感覚と気持ちよさが合わさって生理的な涙とやっと繋がれた喜びの涙が目に浮かぶ。
「ひゃぁぁんっ…んン…ああっ、はっ…く…んっ、あっ」
「やばい、気持ちいいっ。有希は?どう?気持ちいい?」
少し荒い息を交えながら紡がれる龍さんの言葉は色っぽくてゾクゾクする。
「いぃっ…きもっち、いっ…ンッ」
「良かった」
薄っすらと滲んだ汗を拭いながらへにゃっと笑った龍さんが愛しくて、どんな表情でもいいから近くで見たくてたくましい胸に縋り付く。
「もっ…イくっ、くるしっ…はぁっン」
限界が近づいてきて必死に抱きつきながら訴えると龍さんがそれに応えるように動きを速く強くした。
「ひゃっ…あぁ、もっ無理っ…」
「イケよ」
押し殺したような声で言われて身体が反応してしまう。
「くっ…ふぅぅッ」
身体を大きく震わせて吐精する。
中でどくんと龍さんのが反応したのがわかった。
その刺激はイッた後の身体にはきつすぎて締め付けてしまう。
中で薄皮1枚隔てて龍さんがイッたのがわかった。
自分で感じてくれたのだと思うと頬が緩む。
ズルリ、と抜かれてそれに身体を震わせながらもそのまま龍さんに抱きつく。
気怠い身体と満たされた心でベッドの上で抱きうとそれだけで気持ちが通じ合ったことがどれほどの奇跡か、どれほどの喜びかを実感する。
できれば…このぬくもりを手放したくない。
そんなことを思いながら迫りくる眠気に耐えられずに目を閉じた。
「おやすみ、有希」
小声とまぶたへのキスを感じて本格的に有希は眠りの世界へと落ちていった。
幸せそうな顔しやがって…寝落ちした有希の身体を清めて服を着せた後で寝顔を眺める。まさかこいつがこんなにも可愛く鳴くとはな、と小さく笑う。宮
川の心も今まで感じなかった暖かさを感じていてこいつを離さないようにしようと心に決めた。
「おやすみ」
もう一度呟いて有希の頭を撫でて宮川も横になり深い眠りへと落ちていった。
窓から美しい月光が幸せそうな2人を照らしていた。願わくばこの純愛が何者にも妨げられませんように。
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