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第3話
藍染は雰囲気を盛り上げるのがうまい。
美味しい食事と酒と楽しい会話となれば少し飲みすぎてしまうもので俺はいつになく酔っていることに気がついた。
とっくに終電はない時間だ。
タクシーを呼べば良いのだがそれすらも億劫だし藍染も少し疲れたような顔をしている。
「藍染」
藍染はそう呼べば少し酔って上気した顔をこちらに向ける。
すごく、可愛い。今キスしたらどんな顔するんだろう。
そんなことを考えてからはっとしてしまう。
キス…?俺は何を考えてるんだ…?酔ってるんだろうか。
そんな心の葛藤を知らない有希は
「なんですか?」
と生真面目に聞いてくる。無理やり頭を切り替え
「お互い疲れたし終電もない。隣のビジホに泊まらないか?」
問いかけると一瞬驚いたようだが有希は嬉しそうな顔をして頷いた。
ホテルにチェックインして1晩なので1部屋に2人。
想像もしてなかった状況に有希の心臓はうるさく音を立てていた。
交代でシャワーに入り宮川警部はシャンパンをルームサービスで取った。
どうやら今夜は飲みたいらしい。宮川警部は有希にもついでくれて軽く乾杯した。
これで、最後。
本当にきっとこれで関係は終わる。
そう思うと胸が苦しい。
このまま夜が終わらなければいいのに。
恋人でもないのにそんなことを考えている自分に苦笑する。
僕はわがままだな。
ふわりと微笑んだほろ酔いの宮川警部に胸が締め付けられる。
言ってしまいたい、この気持ちを。伝えてしまえば楽になるだろうか?
お酒の力もあって涙が止まらなくなる。慌てて宮川警部が
「どうした!?」
と聞いてくるが首を振るばかりで答えることができない。
言えるわけがない。貴方に恋をしてしまい離れるのが寂しいなんて。
下を向いて震えていると突然顎に手をかけられて上を向かされた。
視線の先には微笑んでいる宮川警部がいて。
止まらない涙と混乱した頭でわけも分からず宮川警部と見つめ合う。
どうして宮川警部はこんなに優しく笑うんだろう?
「泣いてるお前見て気づいた」
宮川警部が口を開く。気づいたって何に?
「藍染が、好きだ」
思考が止まった。時間と一緒に。
宮川警部が僕を好き…?これは夢?頬をつねってみるが普通に痛い。
その痛みに顔をしかめていると宮川警部が見たこともないくらい優しい顔で
「夢じゃないぞ。ついでに酔ってるからってわけでもない」
と心を見透かしたように言ってきて有希の心臓が跳ね上がる。
「俺を庇って藍染が眠った時もう目覚めなかったらどうしようってすごく怖かった。いつもいちごオレ飲んでるのを見てたから知ってたし非番の日に犯人を取り逃がして被害者を出してしまったなんて泣いてるところも全てが可愛いななんて思った。なんでこんなに気になるのかずっと考えてたけどさっき藍染が泣いてるの見て確信した。俺はこいつが好きなんだって。多分、その顔は俺も期待していいんだろう?」
ニヤリと笑った顔も綺麗で、有希はたまらず顎にかけられた宮川警部の指をそっと握って自分からキスをした。
「好き…です」
恥ずかしくなって唇を離そうとするとぐっと後頭部を引き寄せられ舌を絡め取られる。
クチュクチュという音が耳すらも犯していくようでゾクゾクした。
「んっ…んんっ…はっ」
息がうまく吸えなくて恥ずかしくなるがすっかりドSと化した宮川警部は離してくれない。
「こーゆー時は鼻で息するといいぞ?」
「んっ…はっ、ドS…ですね」
「こんな時くらい敬語外せよ…」
そう言いながら宮川は手を伸ばしてベッドライトを消した。
真っ暗になった部屋で目の前の逞しい身体に抱きついたまま浅く呼吸を繰り返す。
「藍染…抱きたい」
あまりにもスッと落ちてきた言葉。
言葉が出なくて有希はただただ頷いた。
満足気に鼻を鳴らす音が聞こえて抱きしめあっていた身体が一度離れる。
そしてベッドに優しく押し倒された。
暗闇に慣れた目はしっかりと宮川警部の目を捉えていて恥ずかしくて目を逸らす。
「逸らすなよ。もっとこっち見ろ」
楽しげな声に恨みがましい目を向けると首筋にキスを落とされた。
すっとシャツを脱がさられて鎖骨、首元、胸、へそ…順々にキスを落とされる。
くすぐったさに身を捩ると鎖骨の丁度服で隠れるところに歯を立てられた。
「いっ…痕つけないでっ…」
「かわいい…」
ぼそっと聞こえた声に胸が高鳴る。
悔しいくらい宮川警部の虜だ。
ピンっと胸の飾りを弾かれて吸われて転がされて、たったそれだけなのに息が上がる。
「んっ、ああっ…んっく…はっ、んんっ」
自分のものではないような甘い声を聞きたくなくて手で口を覆ったがすぐに宮川警部に手を取られる。
「隠すな…俺は藍染の声が聞きたい」
まっすぐ見つめられて言われると逆らえない。
また胸をいじりだした手に翻弄されたまま耳を舐められる。
気持ちよくて恥ずかしくて生理的な涙が浮かぶ。
「そろそろコッチ、苦しいんじゃないか?」
「あっ!!」
突然膝で服越しにモノを押されて反射的に大きな声が出る。
クスッと漏れた宮川警部の声にぶわっと赤面する。
手際よくズボンとスラックスをおろされて宮川警部の手が直接モノを擦る。
気持ちよすぎて声を抑えられないし腰が無意識に揺れる。
「くっ…あぁっ、あんっん、だめっだめっですっ…みっやかわ、けっぶ…はっ」
くるくると有希のモノをいじっていた指が一旦離れて宮川警部が顔を上げる。
「龍之介」
「ぇ…?」
「だから、龍之介。俺の名前。こんな時まで警部はよしてくれ…呼びづらかったら龍さんでもなんでも他に呼び方があるだろう?」
「龍之介…龍之介…りゅ、龍さん…」
「いい子だ、ちゃんと呼べたからご褒美、な」
何やら不穏な言葉が聞こえた気がして反射的に宮川警部…龍さんの手を掴もうとしたがするりと避けられ宮川警部は有希のたちあがっているモノを口いっぱいに頬張った。
「あああんっ!!はっ…あっ、んっ」
あまりの刺激に呼吸が上手く行かない程だ。
「イっく…もっだめっだっ、から…だめっ…りゅ、さん…あっ、くっ」
一瞬有希の息が止まり宮川の口の中に白濁を吐き出す。
「あっ、龍さんごめんなさい」
真っ赤になった有希は急いで謝罪した。
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