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【デート編】第22話

* * * 「……っ」 ゆっくり瞼を開くと、窓には朝日が降り注いでいて、まるで壊れるような虚しさに襲われる。 こんな日には隣に北城がいてほしいと思ったが……案の定隣で寝ていて、俺を抱き締めていた。 けど今日の彼は今までとは違っていて、俺に対する態度も、表情も、別人のように思えた。 それは昨日の……告白のせいかもしれない。 「うなされてたけど……大丈夫なの? 今日先生が休みの日で良かったよ」 「……悪い夢を見ちゃって」 「……そっか」 ──昨日の放課後、告白されたのに俺は好きだと言えなかった。 挙動不審になったとはいえ言い出しづらくって、でもキスを抵抗しなかったから……きっと伝わったのかもしれない。 今日、彼を誘ったのは俺だ。 無性に彼の側にいたかったから。 まさか昨日からいてくれるなんて思わなくて、俺は彼にぎゅっと抱きつく。 「先生って甘えんぼさんな所あるよね」 「……だってあったかい」 「かわいいから許すけど」 あぁ、本当に。 彼に好きだと言ってもらえて、心臓が今にも止まってしまいそうなくらい、嬉しかった。 彼のその姿に追い付いたように、俺は側にいることができるなんて、信じられないくらい。 だからこそ、俺もいつかちゃんとした好きをきっと、言わないといけない。 本当に……大好き。 その、全てが。 「北城優しい……」 「先生、もう一回寝ちゃいそうだよ」 「へへ……なんか嬉しくて」 悪夢から目覚めた後だから余計に、彼といる時間がはちみつみたいに甘い。 優しい北城のことだからきっと寝ても何も言わないんだろうな。 11年前……あの嫌なものから出会えた北城という存在。 セックスが、本当は気持ちいいものだと教えてくれた。 生きる希望を与えてくれてありがとう。 ……本当にありがとう。 また抱いてほしい。 俺の中をどろどろにしつくして、目覚めて隣にいるのは北城がいい。 ……それが【永遠】になるなんて。 素敵だな。

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