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第14話 ライフ 3-3

 虹のしばらくあとに送られてきた写真では、三木の指先に真っ黒な毛玉みたいな子猫がぶら下がっていた。  それを思い出しているのか、ニヤニヤと笑う三木は俺の頭を勝手に撫で始める。 「うぜぇ」 「へへ、でも先輩の方がやっぱり可愛い。もっとぎゅっとしていいですか?」 「あ?」  俺の返事など待たず、アホみたいに顔を緩めて俺に抱きつく三木。けれど文句を言うのも面倒くさいので、レトリバー辺りにじゃれつかれていると思ってほっとくことにした。 「先輩、今度デートしよう」 「は?」  急に耳を伏せた大型犬は、人の身体を抱きかかえてじっと目を覗き込んでくる。 「たまには一緒に出かけたいなぁって思うんですけど。駄目、ですか? 俺達あんまりと言うか全然ないでしょう、デートしたこと」  その視線を捉えながら、俺はふと記憶を巻き戻してみた。  そう言えば、すれ違いばかりでロクに一緒に出かけたことがなかった。 「……時間があればな」 「やった! 俺が先輩の休みに合わせるから、約束ですよ」 「覚えてたらな」  こんな些細なことで大喜びするとは単純な奴だ。でもそんなことなら――。 「それ取れ」 「……どれ?」 「そこの青い封筒だ」  のし掛かるように抱きついている三木を押し、顎でテーブルを示せば、目を丸くしながらキョロキョロと三木は視線を動かす。そして俺を抱えたまま、テーブルの隅で新聞に紛れた青い封筒を手に取った。

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