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第54話
するりと、クロの手がオレの腰を撫でて、呆然としてた意識が引き戻された。
「触んなっ!」
あれ程気持ち良かった手が...冷たくて、クロへの感じていた気持ちが懐かしさから来るものだと解ったら、幼い頃の自分まで汚しそうで触れられたくなかった。
「りお、オレはりおを信じてる...あの時俺に好きだと言ったのはお前だ。
違う意味で言ったにしろ、オレは大好きなりおに言われた事が嬉しくて、どうすれば一緒に居られるか、どうしたらりおの本気の球を取れるか...そんな事ばかり考えてた。」
そう、オレは...クロに好きだと言ったのだろう。
幼い記憶は今のオレにはあまり残ってはいないが、クロに対しては好感を持っていた。
そして今も、好感はある...でも、だったら何故正体を明かさなかったんだよ。
「オレなら...騙せると思った?」
気持ちが、スっと冷えて思った以上に冷たい声が喉から零れた。
「り、お?」
「なぁ、騙せると思ったから、あんな殴られた様な傷まで作って手が込んでんな」
「ちょ、違う」
オレは、やはり誰も愛してはいけないし、愛そうとさえ思う事さえ罪なのかもしれない。
オレはクロのパジャマを馬乗りになったままでゆっくりとボタンを外した。
「りお!違う、騙しっ...くっ」
もう、嘘なんか充分だろ。
クロの股間を強めに握って、クロの開いた胸に頬を寄せた。
凄まじく早鐘を鳴らしてる心臓の音。
優しく聞こえていた鼓動は今はオレを冷やして行く。
「...りお?」
オレは何も言わずにクロのズボンを下ろして、手にたっぷりのローションを垂らしクロに見せる。
「抱きたいんだろ?オレを」
そう言って、後ろ手にクロの柔らかいそれを強く握り込み、ゆるゆると上下させる。
「ちょ、りお?うぁ...ん」
「抱かせてやんよ、タダのビッチだかんな」
なんかどうでも良くなった。
病院でもほぼ大丈夫だろうと言われたし。
クチクチと卑猥な音が立ち、クロのそれも勿論扱けば勃ち上がってくる。
それにゴムを被せて、オレはクロの上から、立膝でクロを見下ろした。
「クロ、初めて...貰ってやっから」
そう言って、オレはクロの先をオレの中へと入り込む場所へあてた。
「やっ、待てって!りおっ、違っ、うっあ...ぁ、」
言葉なんか、聴きたくない。
もう、騙されるのは散々味わった...これ以上はもう...
────いらない────
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