64 / 107

第64話

ぶぅん...と、ノートパソコンが起動してオレはもう一度検索をかける。 やはりキスでも感染すると書かれてたがその後に...〝互いに傷がある場合〟である事が発覚。 マジか...と、へこたれた。 「なにしてんの?」 「ん?さっきのクロが言った通りだなと」 「信じなかったのか?」 不貞腐れてるように頬を膨らますあたりまだガキだよな。 「いや、信じてたけど、オレも調べたからさ...ちゃんと見ようと思ってね。 言う通り、ちゃんと感染するのは傷がある場合って書いてた」 そうか...と、クロがオレの髪を梳く。 「なんだよ」 「りおに触っていたい」 あーそう言えば、最初ってこんなベタベタしてたっけ。 なんか、胸がキュンキュンしてしまうのは仕方ない事だよな。 こうやって、じゃれてる内にキスをして、触れ合って...そして一つになった。 温かくて、優しくて、嬉しくて...沢山の感情がオレの中に芽生えた。 好きで...この人しかいないと、そう思ってオレはアイツに全てを委ねた。 結果、今はクロがいる。 「何考えてんだ?」 「んー?あーね、何考えてたっけな」 「老人か」 そう言いながらも、クロの指はオレの指に絡む。 「りお、俺の足治ったら...球を捕りたい」 「オレずーっと投げてねぇし」 そう返せば指にクロの長い指先が絡んで来る。 「それでも、この温かい手が投げる球はいつも優しかった...正捕手に投げるスピードを俺も受けたかった」 幼い頃オレが手加減しなければ、クロは捕れないほどの年齢差だったからな。 それを考えれば今もそうだけど、何でこいつはオレが気に入ってるんだろ? 「ガキ」 こんなやり取りでさえ、嬉しく感じてしまう。 クロの指先の愛撫にオレはそれを受け入れてゆっくりと身体をクロに預けた。 「はぁ...りお、りお」 お前はりおたん病か!常にオレの名前呼んでるし。 「何がそんな不安なんだよ」 クロがこんなにオレに触れて、オレの名前を呼ぶなんて、それしか思い付かなくて聞いたら首傾げやがった... コノヤロー。 「俺はりおの彼氏になりたい」 「あー...オレは今は要らねぇ」 「解ってる」 解ってんなら言うなバカ! そんなにしょげた顔されたらオレが悪いみたいじゃないか! いや、オレが悪い...んだよな。

ともだちにシェアしよう!